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田中彰治(助教)(2ページ) 分子研リポート2009 | 分子科学研究所

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234 研究領域の現状

田 中 彰 治(助教) (1989 年 4 月 1 日着任)

A -1).専門領域:非ベンゼン系芳香族化学,分子スケールエレクトロニクス

A -2).研究課題:

a). 大型パイ共役分子内における単一荷電キャリアーの外的制御原理の探索

A -3).研究活動の概略と主な成果

a).「逐次精密合成法に基づく,単一電子トンネル回路素子の単一分子内集積化」について分子開発研究を進めている。 単一キャリアーを単一π 共役分子骨格内で自在に操作するための前提条件は,分子内荷電キャリアーであるポーラロ ンのサイズよりも十分に大きな規模の非周期的・定序配列型π 共役システムの構築である。かつてポーラロン長は 2. nm 程度とされていたが,大型分子に対する理論評価が可能となった現在では,対イオンがない場合には 10.nm 以上 の主鎖領域に非局在化するとの予想も出てきた。よって,その一桁上の数 100. nm 長クラスのパイ共役系を自由に精 密構築するためのノウハウを確立することにした。例によって,本研究で用いる合成ブロックは中/低エネルギー ギャップ高分子のモノマーユニットでもあるので(π 共役高分子の低エネルギーギャップ化については世界記録を保 持している),分子鎖内にポテンシャル井戸や障壁を作製する際の自由度は,市販分子ブロックベースのモノとは一 線を画する。本年度の到達点は,「絶縁被覆」かつ「HUB 機能ユニット(これを基点として数ステップ以内に20種以上 の機能ユニットに変換可能)」を装備したチオフェン 432 量体。その主鎖長は 166.nm,分子式は C6912H12098N288S432Si576, 分子量は 129,275。2,592 π 電子系を有する 20,306 原子分子である。大型分子専門の計算化学の皆さん,面白い分子 設計指針の大予言よろしくね。また,主鎖の伝導特性を外的に制御するための側鎖ユニットを導入するため,各種ジャ ンクションブロックを開発し,1–10. nm 長の側鎖ブロックを接続可能なことを実証した。主鎖と側鎖との電子的接合 の程度は,松・竹・梅の3種を用意してあるので,系統的な(将来の総説・教科書で存在感を示しうる)一連のナ ノ計測研究に対応可能である。共同研究としては(阪大・多田/山田G),報告済みの「基準オリゴチオフェン系」 の単一分子鎖伝導計測に続いて,H U B 機能ユニットを活用して電子的モジュレーションを主鎖に種々導入した「比 較系」の検討をすすめている。また,一段階で低分子を 5–10.nm 級に巨大化できる「クロスカップリングサイト付き 長鎖合成ブロック群」をグラムオーダーで京大・田中(一)G に供給し,発光機能や磁性機能を有する分子ユニット との接合を実施している。

B -1). 学術論文

R. YAMADA, H. KUMAZAWA, S. TANAKA and H. TADA, “Electrical Resistance of Long Oligothiophene Molecules,” Appl. Phys. Express 2, 025002 (3 pages) (2009).

B -7). 学会および社会的活動 学会の組織委員等

分子研分子物質開発研究センター・特別シンポジウム「分子スケールエレクトロニクスにおける新規分子物質開発」主催 者.(1998).

(2)

研究領域の現状 235 応用物理学会・日本化学会合同シンポジウム「21世紀の分子エレクトロニクス研究の展望と課題—分子設計・合成・ デバイスからコンピュータへ—」日本化学会側準備・運営担当.(2000).

第12回日本MRS学術シンポジウム:セッション. H「単一電子デバイス・マテリアルの開発最前線〜分子系・ナノ固体系 の単一電子デバイス〜」共同チェア.(2000).

F irst.International.C onference.on.Molecular.E lectronics.and.Bioelectronics.組織委員.(2001).

B -10).競争的資金

日本学術振興会科研費基盤研究 ( C ) ,.「高度の電子輸送能を有するナノスケール単一分子電線の創出」,. 田中彰治. (1998年 – 1999年 ).

日本学術振興会科研費基盤研究 ( C ) ,.「シリコンナノテクノロジーとの融合を目指した機能集積型巨大パイ共役分子の開発」,. 田 中彰治.(2000 年 –2001年 ).

日本学術振興会科研費基盤研究 (C ),.「単一分子内多重トンネル接合系の精密構築法の開拓」,.田中彰治.(2007年 –2008年 ).

C ). 研究活動の課題と展望

単一分子内のポーラロンのサイズの予想値が,年々大きくなっている。対イオンのような局所的電荷がない場合,例えば基 板上に単一分子鎖を設置したようなケースでは,分子構造や外部電場に応じて伸縮自在であるのが分子内ポーラロンの本来 の姿なのであろう。うちでは,裏目標として 200–300. nm 級の非周期的・定序配列型π 共役分子の構築を想定してきたので, 好ましい傾向なのであるが,いろんな意味で評価のモノサシが追いついてこないのが苦しいところである。例えば,MA L DI- T OF .Mass 法といえども分子量が5万界隈からはピークの半値幅が増大してくる。分子量 43,093 の分子の分子鎖端に臭素を 一個だけつけた分子(分子量 43,172)を単離精製しても,両者を区別するのは容易ではない。S 社の技術に相談したが,スルー された模様。機が熟するまでじっと我慢の子で,「異形のようで,実は必要な物理的要件を完備した分子」の開発をブレるこ となく実施するべし。

参照

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